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2024.02.09
個人の土地・建物等の譲渡所得が発生した場合の譲渡所得の申告は、譲渡した日の翌年3月15日までに確定申告しなければなりません。
この場合、「譲渡の日」は「契約日(契約ベース)」と「引渡し日(引渡しベース)」のどちらを採るかは納税者の任意となっているため、その選択によっては申告する年がズレることもあります。
譲渡所得に係る基本となる税率は、平成16年以降変わっていないのですが、どちらを選択するかによって有利不利が生じる可能性もあるため、注意が必要です。
◆ 契約ベース? 引渡しベース?
まず注意すべきは、土地・建物等の所有期間で長期と短期に分かれるところです。
「譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの」は長期譲渡所得(所得税15%+復興税、住民税5%)となり、超えないものは短期譲渡所得(所得税30%+復興税、住民税9%)となります。
譲渡年の所有日数は反映しない、というところに注意が必要です。
この場合、取得の日も「契約ベース」と「引渡しベース」を選べるのですが、建築完了前に購入したマンションの契約ベースは、建築が完了した日となります。
なお、相続や贈与による取得の場合、先代が購入した時の取得日を引き継ぐことになります。
また、譲渡所得の「特例措置」を適用する場合は、どちらの基準を採るかで条件が満たされなくなるケースに注意が必要です。(早過ぎる、遅過ぎる…)
所得控除の残額、ふるさと納税の検討、合計所得金額が増加する影響(扶養から外れる問題、国民健康保険料などの増額、医療費の自己負担額増など)、通算の可能性など、申告年の違いによって生じる可能性のある有利不利も気になるところでしょう。
◆ 売買契約中に相続が発生した場合…!
売買契約締結後、その引渡し前に売主に相続が発生してしまった場合は、更に複雑になります。
この場合も、納税者とすると譲渡の日について「契約ベース」と「引渡しベース」を選択できるのですが、前者だと被相続人の譲渡所得(準確定申告)となり、後者だと相続人の確定申告となり、申告・納付期限が異なります。
その他、次のような影響等も考慮し、有利な時期を選ぶと良いでしょう。
◎居住用の特例……
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居住用の特例を使う場合は、前者(契約ベース)の場合は被相続人、後者(引渡しベース)の場合は相続人で要件を満たせば譲渡の特例は適用できます。
◎譲渡所得に係る住民税の課税等……
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住民税は1年遅れでの課税となるため、被相続人が譲渡したとした場合(前者)には、翌年1月1日に居住者ではないので住民税が課税されません。
逆に、後者を採る場合は、住民税が課税される上に、扶養や国民健康保険料などへの影響があるかもしれませんので、注意が必要です。
◎相続税の取得費加算……
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相続人が譲渡した場合(後者)にのみ、適用できます。
◎相続税申告の債務控除……
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被相続人が譲渡したとした場合(前者)にのみ、その譲渡所得に係る所得税は債務控除の対象となります。
◎その他相続税申告での注意点……
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被相続人が生前に売買契約を締結し、譲渡金額が確定しているため、基本的には路線価等に基づく相続税評価額を使うことはできず、その売買契約に基づく土地又は建物等の譲渡対価のうち残代金請求権(未収入金)が相続財産となります。
更地引渡しの場合は取壊費用の債務控除も可能か…。
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