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2022.12.02
税制では公平性の確保が大事ですが、相続税の計算方法の中にも、この公平性を確保するための規定がいくつかあります。その特徴的な規定の一つに「相続税額の2割加算」があります。
◆ 『2割加算』の制度とは・・・?
相続税の計算方法の中で、遺贈や死亡保険金・死亡退職金を受領した者も含め、算出された相続税の総額を実際に相続(取得)する割合で按分し、各人ごとの納付すべき相続税額を計算したところで、各人ごとに下記に当てはめ、該当する者の納付する税額には、その20%を加算するという制度です。
相続税法18条(相続税額の加算)がこの規定で、相続等で財産を取得した者が(1)被相続人の一親等の血族(被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となったその直系卑属を含む)(2)被相続人の配偶者について加算はなく、それ以外の者が相続する分について納付すべき税額は2割加算する、というもの。
つまり、法定相続人以外の者がまず2割加算の対象となり、更に、法定相続人であっても兄弟姉妹やその代襲相続人である甥・姪も対象となります。
これは、一親等の血族や配偶者以外の者が相続財産を受け取るのは偶然性が高く、そこに税負担を加重するだけの“担税力”があると見られたからです。
◆ 『相続税額の2割加算』の注意点は・・・!?
【1】養子縁組が行われた場合・・・
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被相続人に養子・養親がいる場合は、養子は民法により“一親等の(法定) 血族”とされますので、(1)に該当し「2割加算」の対象から外れることになります。
なお、“一世代飛ばし”の節税策を封じた平成15年税制改正以降は、(被相続人の子が先に亡くなって代襲相続人となった場合を除き)「孫養子(曾孫養子も)」は2割加算の対象となりました。
ただし、もし孫養子が相続財産を取得せず、遺贈も死亡保険金も受けなければ、納付税額もないので(当然ですが)2割加算もありません。
なお、養子は通常は法定相続人の数を増やす(相続税の総額を算出するところまでは、被相続人に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は2人まで…)効果があるので、相続税の計算上有効です。
(※メリット→基礎控除増、死亡保険金・退職金の非課税枠増、相続人1人当たり財産減で税率軽減、条件付きで障害者・未成年者控除など…)
ただし、実子がないケースで、養子を取ると逆に法定相続人の人数が減るケースもあるので注意が必要です。
【2】相続放棄があった場合・・・
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まず、一親等の血族が相続放棄したにも拘わらず、特定遺贈や死亡保険金を受け取って申告が必要な場合も、一親等の血族であることに変わりはないので2割加算はありません。
ところが、代襲相続した孫が、相続放棄した上で特定遺贈や死亡保険金を受け取って申告が必要な場合には、代襲相続人の孫が2割加算しなくて良いための要件が「相続人」であることとしているので、代襲相続人の孫であっても2割加算の対象となります。
【3】特別の寄与がある場合・・・
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2019年7月の民法改正で始まった無償による療養看護等した場合に認められる「特別の寄与」についても、相続人でない親族が特別寄与料を請求することになるので、通常2割加算の対象となります。