2022.01.04
12月10日に与党の「令和4年度税制改正大綱」が公表されました。一部報道で「相続税・贈与税の一体化」や「金融所得課税の見直し」が行われる、といった噂もありましたが、今回は見送られたようです。今号では、「個人」に影響のある税制で主要なものを確認しておきましょう。
◆ “個人関係課税(所得税、住民税、贈与税等)”・・・!
(1)住宅ローン控除の控除率を縮小し期間は延長
会計検査院の報告でも逆ザヤが問題視されていたことから、令和4年以降の控除率は0.7%(現行1%)に引き下げられます。ただし、住宅の省エネ等の環境性能や新築・中古等の別により控除限度額(2,000~5,000万円)と控除期間(10年、13年)を分けて適用することになります。更に、適用対象者の所得要件が2,000万円(現行は3,000万円)以下に引き下げられます。また、適用対象となる中古住宅の要件で築年数要件が廃止され、新耐震基準に適合している住宅(昭和57年以降の家屋は適合しているとみなす)に限定されます。また、令和5年以降、住宅ローン控除の適用にあたり必要となる年末残高証明書の提出が不要となります。
(2)上場株式等の配当所得等の課税方式を統一
上場株式等の配当所得等に係る課税方式については、現行では所得税と個人住民税が異なる課税方式を選択することができます。しかし、令和6年度以降の個人住民税(令和5年分の所得税確定申告時)からは、所得税と個人住民税の課税方式を一致させなければならなくなります。つまり、所得税を総合課税、個人住民税を申告不要(源泉徴収分で終了)とする選択ができなくなります。
(3)住宅取得等資金の非課税贈与、縮小して延長
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、令和3年までとされていましたが、契約締結時期にかかわらず、省エネ等住宅は1,000万円まで、その他住宅は500万円までとされて、2年延長となります。また、適用対象となる中古住宅の要件で築年数要件が廃止され、新耐震基準に適合している住宅(昭和57年以降の家屋は適合しているとみなす)に限定されます。なお、受贈者の年齢要件も見直され、「20歳以上」が「18歳以上」になります。
(4)財産債務調書制度等の見直し
現行では、2,000万円超の所得(退職所得除く)を有し、3億円以上の財産か1億円以上の有価証券等を有する者が、財産債務調書を提出する義務があります。そこに、令和5年分以降は、12月末日において10億円以上の財産を有する者も提出義務が課されます。ただし、提出期限が翌年6月30日(現行は翌年3月15日)とされます。(国外財産調書も同様…)
(5)国民健康保険税
国民健康保険税の基礎課税額(医療分)の限度額が65万円(現行63万円)に引上げられ、後期高齢者支援金等課税額の限度額が20万円(現行19万円)に引上げられます。
(6)死亡時の通知
死亡した者の住所地の市町村長は、死亡した者が有していた土地又は家屋に係る固定資産課税台帳の登録事項等を、税務署に通知しなければならないとされます。
(7)所得税の納税地異動の手続簡略化
令和5年以降、異動の届出書の提出は不要に…。