2023.06.02
所有者不明土地等の解消に向けて、民法・不動産登記法の改正法がスタートしますが、前回ご紹介した「相続登記の申請義務化」「住所等の変更登記の申請義務化」の他に、所有者不明土地等の発生予防策として、今回ご紹介する「相続土地国庫帰属制度」の創設も重要です。
内容を確認しておきましょう。(詳細は、弁護士・司法書士・行政書士さんへ・・・)
◆『相続土地国庫帰属制度』とは…?
令和5年4月27日に施行される制度で、「相続等により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度」です。(法の施行前に相続した土地も対象となります。)
【土地の要件】としては、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)によって取得した所有権や共有持分で、「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」は不可としています。
具体的には―――
(1)建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある土地
(2)土地汚染や埋設物がある土地
(3)危険な崖がある(政令では勾配30度以上+高さ5m以上で費用等かかる)土地
(4)権利関係に争いがある土地(袋地や著しい高低差があるなど公道に通じていない土地なども)
(5)担保権等が設定されている土地
(6)通路など他人によって使用される土地
―――などが挙げられています。
◆「申請手続きのイメージ」は…!?
法務省のHPで掲載されている「相続土地国庫帰属制度のご案内」等で、手続や審査の流れが公表されています。
それによると―――
1. 申請に不安がある場合は事前に法務局(本局)に相談(予約制)
2. 該当の土地の境界点にポール、プレート、テープ類などを設置
3. 申請書の提出は土地を管轄する法務局の本局に持参か郵送(共有の場合は共有者全員で)
4. 申請後に現地調査への同行を求められる場合があり(代理人に依頼可)
5. 半年から1年程度で承認・不承認(却下)
―――が決まります。
なお、弁護士、司法書士、行政書士は、申請者本人に代わって申請書類の作成を代行できますが、申請書に作成者を記載する必要があります。
ただし、この場合も申請者は土地の所有者自身になります。
(未成年後見人や成年後見人等の法定代理人は、代理人の名前で行うことができます。)
また、事前の測量等は不要(図面の作成は必要)とのことで、農地の申請でも農地法3条1項に基づく農業委員会の許可取得は不要とのこと…。
なお、審査手数料は、土地1筆当たり14,000円(収入印紙の貼付で納付)です。
この手数料はいかなる理由があっても返還されません。
(申請者が亡くなった場合は、相続等があった日から60日以内の手続きで継続審査に…)
◆承認後に「負担金」の納付が必要…!
審査によって承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用として10年分の土地管理費相当額を納める必要があります。
法務省HPに「負担金の自動計算シート」の掲載がありますが、負担金の通知が到達した翌日から30日以内に納付する必要があります。
納付した時点で、土地の所有権が国に移転し(登記は国の方で行い)ます。
負担金の金額の計算例では、市街化区域にある200平方メートルの宅地で約80万円、1,000平方メートルの森林で約26万円が必要になります。
なお、却下事由や不承認事由が存在する土地について、事実を偽ったり不正な手段によって承認を受けたりしたことが後に判明した場合は、その承認は取り消され、負担金は没収されます。
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