2022.04.19
令和4年4月から、民法改正で約140年ぶりに成年の定義が見直され、「民法改正」が20歳から18歳に引き下げられました。
法務省HPによると―――
1.公職選挙法の選挙権など18歳以上を大人として扱うという政策が進められてきた
2.世界的にも18歳以上とするのが主流
3.若者の積極的な社会参加を促すことになる
―――という考え方からのようです。
まず、相続税や贈与税を計算する際に、「20歳」を基準としているものについて、基本的に「18歳」の基準が適用されることになります。
(税制では、令和4年4月1月以降に相続や贈与などにより取得する財産や信託受益権等が対象…)
具体的には―――
(A)相続税の未成年者控除(改正後は18歳になるまでの年数1年につき10万円控除に)
(B)相続時精算課税の選択ができる受贈者の年齢要件
(C)贈与税の(直系尊属から贈与を受けた場合の)特例税率が適用される者の年齢要件
(D)結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の受贈者の年齢要件
(E)住宅取得等資金贈与の非課税措置の受贈者の年齢要件
(F)事業承継税制(個人版も法人版も)に係る受贈者の年齢要件
(G)遺産分割協議への参加
―――です。
2022.04.19
父母や祖父母など直系尊属からの、居住用家屋の取得等のための資金贈与が非課税となる特例について、概要・注意点等を見てみましょう。
20歳以上の子や孫(贈与の年の合計所得金額2,000万円以下の人、令和4年4月からは18歳以上に)が父母、祖父母など直系尊属から住宅取得等のために金銭贈与を受けた場合、一定の非課税限度額まで、暦年課税の基礎控除額もしくは相続時精算課税の特別控除額に上乗せすることができます。
非課税限度額は、一定の省エネ等住宅(証明が必要)が1,000万円で、それ以外の場合は500万円。
ただし、令和3年中までに消費税率10%で契約している場合は、500万円の上乗せがあります。
取得等する家屋は国内にあり、1/2以上居住用が要件。
床面積が40平米以上240平米以下(店舗兼でも共有でも家屋全体で判定。
合計所得金額1,000万円超の場合は50平米以上。)でなければなりません。
中古住宅でも築20年以内(耐火建築物は25年)の一定の要件(令和4年以降、築年数要件が一部変更される予定)があります。
贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住していなくてはなりません。
ただし、同日において屋根を有するなど「新築工事の完了に準ずる状態」にあれば、一定の書類の添付により特例の適用は可能です。
その場合でも、遅くとも申告年の12月31日までに居住の用に供されていないとなりません。
なお、この扱いは“新築”の場合で、分譲マンションや建売住宅の“取得”の場合にはその適用がありません。
ただし、新型コロナウイルス感染症の影響による工期の変更など、自己の責めに帰さない事由により居住期限までに居住できない場合は、分譲マンションや建売住宅でも居住期限の1年延長が認められます。
なお、贈与資金を増改築等に充てる場合は、中古取得物件に居住する前の増改築に充てたときの特例の適用がありません。注意が必要です。
家屋建築に先行して取得した土地に充てられた資金贈与についても、受贈者が家屋の名義を(共有含む)取得していれば、特例を適用することはできますが、贈与の翌年3月15日までに新築が要件となります。((2)のただし書きの猶予規定は受けられますが…)
1.平成26年分以前の年分において「住宅取得等資金の贈与の非課税」の制度を使っている場合も、今制度の適用はありません。
2.住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)との併用は可能です。
但し、先に家屋等の取得対価の額から贈与の特例の対象となる金額を差し引き、住宅借入金等特別控除の額が計算されます。
3.相続時精算課税制度との併用も可能です。
その場合は、暦年課税の基礎控除(110万円)はもう適用できません。
なお、相続時精算課税は曾祖父・曾祖母では使えません。
贈与があった年中に贈与者が死亡した場合でも、翌年に贈与税の非課税の適用を受ける申告を行えば、「死亡前3年以内に贈与により取得した財産」として相続財産に含める必要はありません。
なお、将来、「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」を適用する際に、配偶者や同居親族がいない場合のいわゆる「家なき子」の適用はできなくなりますので、ご注意ください。