2022.08.18
一般的な遺言書には、次の4つの方式があります。
(1) 自筆証書遺言(自身で保管)
全てを自書で作成し、自身で保管します。
作成・保管について、専門家のアドバイスを受けることもできますが、通常は、公正証書遺言をおススメされます。
《メリット》
いつでもどこでも手軽に作成でき、何度でも書き直しができる。
それだけでは費用はほとんどかからない。
《デメリット》
形式の不備や不正確な表現等で後日トラブルが起きる可能性も。
偽造・隠匿などの心配もあり、下手をするとそのまま遺言書の存在を知られずに終わってしまうことも。
(2) 自筆証書遺言(法務局で保管)
自筆証書遺言書保管制度を利用します。本文の部分は、全てを自書で作成します。
財産目録の部分は、自書ではなく、パソコンを利用したり、不動産の登記事項証明書や通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが、その場合、その目録全てのページに署名押印が必要です。
《メリット》
遺言が発見されない、相続人に破棄されるリスクが無くなります。公正証書遺言と同じく、死後に検認手続きが不要です。
また、公正証書遺言に比べ、作成に係る費用が安く、簡単ではありますが、法務局で形式的なチェックを受けることができます。
《デメリット》
法務局では、遺言書の内容のチェックはしませんので、矛盾や不備があって、遺言書自体が有効となる保証はありません。
また、保管手続きが出来る法務局が決まっていて、そこへ本人が出向く必要があります。
本人確認書類や相続人の戸籍等の書類の用意が必要です。
(3) 公正証書遺言
公証役場で公証人が作成。
《メリット》
形式の不備で遺言が無効になるおそれはなく、内容も整理され、安全確実な方法。死亡後、家庭裁判所での検認手続も不要。
《デメリット》
費用がそれなりにかかる。簡単な財産目録をつくる必要があり、遺言書作成の当日、証人2人を用意する必要あり。(公証人の方で用意してもらうことも可能だが別途報酬必要)
(4) 秘密証書遺言
自身で作成(何でもOK)し署名押印して封入。公証役場でもう一度署名押印。
《メリット》
内容を誰にも見せないで作成でき、遺言書が偽造・隠匿されるおそれはなく、費用も定額で安い(11,000円)。
《デメリット》
公証人が遺言書の内容をチェックしないので、形式的に不備や不正確な表現等で、遺言書が結果的に無効となるリスクあり。
また、死亡後、家庭裁判所での検認手続が必要。
更に、証人を2人用意する必要があり、それならば検認が不要で有効な遺言書を確実に作成できる公正証書遺言の方が、ということになり、実態としては秘密証書遺言を利用する方はほとんどいない…。