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  • 相続財産の譲渡に係る『取得費加算の特例』

    2025.01.16

    相続後の一定期間内に相続財産の一部を売却した場合に、支払った相続税の一部を売却した相続財産の取得費に加算して譲渡所得を減らせる制度です。

    ◆「取得費加算」制度の概要 (所得税・住民税)・・・!?
    ◎対象…
    相続税を納めた人が、相続によって取得した土地、建物、株式、金・美術品などで相続税の申告期限から3年以内に売却して「譲渡所得」となるものに限定…。(事業所得や雑所得では不可)
    ◎取得費に加算する金額…
    譲渡した相続財産に対応する相続税額で、具体的には「その者の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与加算分も含む)のうち、譲渡した相続財産の評価額の割合」に本人が払った相続税を乗じたものに…。
    ◎手続き…
    確定申告書に専用の「計算明細書」を添付します。所得税の申告より相続税額の申告(確定)が後になる場合は、相続税額の確定後2ヶ月以内なら所得税の“更正の請求”ができます。

    ◆“取得費加算”の注意点は・・・?
    (1)加算上限…
    譲渡した財産ごと(特定口座と一般口座とでは別銘柄扱い…)に計算し、取得費に加算できるのは譲渡益(収入-取得費-譲渡費用)の金額が上限です。
    従って、特定口座内の取引であっても銘柄ごとに譲渡益を確認する必要があり、もともと譲渡損となるものには取得費加算はありません(他の譲渡資産の取得費にも使えない…)。
    (2)同一銘柄を相続前から保有していた場合…
    相続等による取得した財産は、被相続人等の取得費を相続人は引き継ぎます。
    2回以上にわたって取得した同一銘柄の株式の取得費は、通常「総平均法に準ずる方法」により(特定口座と一般口座とで別々に、1円未満の端数は切上げで)計算します。
    そして、前記の期間内に株式の一部を譲渡したときは、その譲渡はその相続等により取得した株式の譲渡からなるものとして(優先的に)この特例を適用して良いことになっています。
    (3)取得費不明の場合…
    譲渡所得では、取得費の実額が収入金額の5%相当額を下回る場合(取得費が不明な場合を含む)は、収入金額の5%を取得費とする“概算取得費”が使え、この場合も取得費加算の特例は適用できます。
    (4)発行会社に株を譲渡する場合…
    非上場株式をその発行会社に譲渡した場合、収入金額の一部はみなし配当所得が含まれる場合があります。
    その場合でも、「みなし配当課税の特例」が適用できれば全額が譲渡所得となって、取得費加算の特例も適用可能となります。
    (5)代償分割では調整計算が必要…
    代償分割による代償金を支払う場合は、取得費加算の特例について加算額の調整が原則必要となります。
    (6)「空き家特例」とは選択適用…
    「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例(いわゆる「空き家特例」)」を適用する場合は、取得費加算の特例は使えず、選択適用になります。
    空き家特例には譲渡対価が1億円以下などの要件が多いので、注意が必要です。(空き家特例の方は、相続開始日から3年を経過する年の年末まで)

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