2024.11.14
自筆証書遺言の自由度が高いというメリットを生かしながら、紛失や改ざん、方式不備により無効となるデメリットを解消するためにできた『自筆証書遺言書保管制度』は、創設されて4年が経ち、保管申請件数も累計で8万件に迫っていて、ここに来て毎月の利用件数も若干増加傾向にあるようです。
ただ、公正証書遺言の作成件数は統計的には毎年10万件超となっているので、公証役場に直接、あるいは弁護士・司法書士・税理士などの専門家に相談しながら公証役場で公正証書遺言を作成するケースの方がはるかに多いというのも事実なのでしょう。
◆ 「自筆証書遺言書保管制度」の 特徴・手続き…!
『自筆証書遺言書保管制度』の特徴は―――
1.全文を遺言者が自書・押印した自筆証書遺言書による
(日付必須、財産目録のパソコン利用作成や不動産謄本・通帳コピー添付でもOK)
2.申請時は遺言者本人が出頭
(証人不要)
3.遺言書原本は法務局で保管
(法務局では遺言書の内容の相談には応じない)
4.預けた遺言書の変更や撤回も可
(撤回時のみ原本返却)
5.保管申請時の手数料は3,900円
(変更等では手数料無料)
6.死亡時には“通知制度”【後述】あり
7.死亡後は「遺言書情報」等が相続人等に開示される
(家庭裁判所における検認の手続きは不要、遺言書の原本返却は不可)
―――などです。
具体的な手続き方法は―――
(1) A4サイズ(片面のみ)で自筆証書遺言書を作成する
(専門家に相談しながらも良いでしょう…)
(2)保管申請する法務局を決める
(住所地、本籍地又は所有不動産所在地を管轄する遺言書保管所)
(3)保管申請書をダウンロード等して作成する
(PDFにテキスト入力可)
(4)遺言書保管所の予約を取る
(ネットでも24時間365日予約手続き可)
(5)予約日に訪問する
(作成した遺言書、申請書のほか、住民票の写し、本人確認書類等が必要)
(6)保管証を受取る
(保管番号は再発行されない)
―――という手順になります。
◆ 保管制度の“通知制度”とは…!?
『自筆証書遺言書保管制度』の最終的な目的は、「遺言者死亡後、遺言者の相続人や遺言書に記載された受遺者等及び遺言執行者等(以下、「関係相続人等」)に遺言書の内容を知ってもらうこと」と言われ、そのため―――
(A)「関係遺言書保管通知」
(B)「遺言者が指定した方への通知(指定者通知)」
―――の2種類の“通知”が用意されています。
(A)は、遺言者死亡後に関係相続人等の誰かが遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けた場合に、その他全ての関係相続人等に対して遺言書が保管されていることを知らせるものです。
(B)は、遺言者が死亡した場合に、戸籍担当部局からの連絡により、あらかじめ遺言者がそれを希望して指定した方(3名まで可)がいる場合に、その者へ「遺言書が保管されている旨」を知らせるものです。
昨年10月から対象範囲が拡大された(制限が無くなった)ところで、遺言書保管を一切誰にも伝えないまま亡くなった場合でも、これによってその事実が伝わることになります。
(ただし、遺言書の閲覧・遺言書情報証明書の取得は、関係相続人等に限定されています。)
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