2024.02.09
令和6年以降の相続や贈与に係る申告で使用する「分譲マンションの評価方法」が変わりました。
11月30日付で、「居住用区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算書」が国税庁HPに公表され、不動産登記簿謄本を見ながら入力すると自動算出できるExcelファイルがアップされました。
この評価方法(評価乖離率を用いた区分所有補正率を加味した方法)では、相続税評価額が市場の売買価格の6割近くなるように算式が組まれています。
(従来の建物・敷地利用権のそれぞれの評価額に、区分所有補正率を乗じる方法によって)
従って、★ 高層マンションほど、★ 高層階に所在するほど、★ 築年数が短いほど、★ 専有面積が相対的に広いほど、評価額は上がります。
例えば、(ア) 45階建て築浅物件の高層階では2.3倍、(イ) 24階建て築5年の中層階では2.0倍、(ウ) 15階建て築15年の低層階で1.5倍、といった区分所有補正率となり、令和5年中に相続・贈与があった場合に比べて、上記倍率で評価額がアップします。
逆に7階建て築20年の物件では1.2倍程度でした。
◆ マンションの相続・贈与税評価額…!
相続税法上の課税対象となるものの評価額は「時価」、すなわち「客観的交換価値」とされています。
しかし現実には、公平性の観点や納税者や課税庁側の便宜や経費節減の観点から、財産評価基本通達による全国一律の評価方法が定められています。
ところが、現行の評価通達で計算されるマンションの評価額は、市場での売買価格からはかけ離れた(低い)評価額が算出されたことから、借入金をもとにマンションを購入するという生前(節税)対策を行う例が増えてしまった、という問題がありました。
それに対して課税庁側は、評価通達の中の「総則6項」を持ち出し、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当」と認定して否認し、裁判で争うケースも増えてきたわけです。
ただ、納税者の予見可能性を確保する必要性も叫ばれ、今回の評価方法の変更につながりました。
◆ マンション評価改正から 除外されたもの…?
今回改定されるマンション評価(区分所有補正率)で、次のものが除外されました。
(1) 事業用のテナント物件
(2) 区分建物の登記がされていないもの(一棟所有の賃貸マンションも)
(3) 地階を除く総階数が2以下のもの
(4) 3室以下で全てを親族の居住の用に供するもの(いわゆる二世帯住宅)
(5) たな卸商品等に該当するもの。
◆ その他の注意点としては…?
居住用の区分所有財産が貸家や貸家建付地である場合の評価や、小規模宅地等の特例の適用については、この個別通達の適用後の価額を基に行うことになります。
逆に、借地権付分譲マンションの敷地(貸宅地(底地))の評価には個別通達は適用されません。
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