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  • 『生前に寄付』や『遺贈寄付』について!

    2020.10.26

    先日、相続を意識して100万円を「同窓会に寄付」したい、という方のご相談を受けました。同窓会へ寄付する方法としては、①生前に寄付②遺言書による寄付③相続財産からの寄付、の3つの方法が考えられます。

    ◆ “①生前に寄付”する場合・・・

    は、相続発生直前であっても、相続財産からは確実に減少し、②③の寄付するまでの手続きの煩雑さ等を考えると、をもっともおススメします。

    ただ、同窓会だと、一般財団法人になっていたとしても、公益社団法人等の税制優遇の団体でないため、所得税等の「寄附金控除」を受けることはできません。(県立高校の同窓会記念事業等で例外あり)

    また、法人格のない同窓会の場合、「代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団」に対する贈与となり、この団体を個人とみなして贈与税が課されることになっています。この場合、(普通、贈与税は受贈者ごとに贈与税の計算をしますが)特例で贈与者1人のみから財産を取得したものとみなして110万円の基礎控除や超過税率が適用され、贈与税が計算されます。なお、公益目的事業に資するための寄付には贈与税の非課税規定があります。

    ◆ “②遺言書による寄付”の場合・・・

    遺言書に記載することで、自分が亡くなった後に同窓会に寄付することができます。遺言書に遺言執行者の指定があれば、遺言執行者が寄付を行います。

    遺贈した財産にも原則として相続税が課されますが、同窓会が(1)一般社団法人や一般財団法人、NPO法人になっている場合、(2)法人組織になっていない人格のない社団等の場合、で取扱いが異なります。

    (1)の場合は、受け取る法人の方で法人税法が適用されるため、(租税回避的でない限り)原則として相続税は課されません。(2)の場合は、その団体は相続税法上、個人とみなされますので、原則として相続税が課されます。ただ、(2)の場合でも、公益目的事業に資する場合は、相続税を非課税にする余地はあります。

    また、公益社団法人等への寄付なら、被相続人の所得税の準確定申告でも「寄附金控除」を受ける余地がありますが、同窓会では原則として「寄附金控除」の対象にはなりません。

    ◆ “③相続財産からの寄付”の場合・・・

    相続財産を受け取った相続人が、エンディングノートや被相続人の生前の活動などから遺志を汲み取り、同窓会に寄付する場合です。

    このケースでは、寄付先が公益財団法人や認定NPOなどの税制優遇団体でない限り、相続税が非課税になることはありません。相続税が課された後の財産で、相続人が任意に寄付を行います。

    また、寄付先が同窓会なので、相続人が所得税等で「寄附金控除」を受けることもできません。

    同窓会が人格のない社団等である場合は、この団体を個人とみなして110万円を超える寄付は原則として贈与税が課されることになる、というのは「生前に寄付」と同様です…。

    ◆ その他の注意点(不動産や有価証券の寄付)

    現金ではなく、不動産や有価証券を寄付(遺贈)する場合は注意が必要です。通常、同窓会などの「人格のない社団等」や一般財団法人に対する資産の寄付は、所得税法上「みなし譲渡課税」の適用があり、これらの資産について取得時から寄付時までの値上がり益に対して所得税等が課されます。(特定の寄付については、所得税等を非課税とする制度もあります…)

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